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ボルボのエンブレムに隠された意味
ボルボと言えばスウェーデンで誕生した、世界的自動車メーカーのひとつです。そのフロントグリルには、右上の角から左下の角まで対角線状に配置されたバーと、そのセンターにメーカーエンブレムが配置されています。このエンブレムの意味や由来について調べてみると、長い歴史が詰まっていることが分かりました。
■ボルボのエンブレムはベアリングと鉄で表されている
ボルボのエンブレムをよく見ると、VOLVOの文字を囲う円の右斜め上に矢印の付いているマークがデザインされています。このマークは、古くはローマ時代にさかのぼることが可能で、スウェーデンでは古くから“製鉄”を表すシンボルとして使われてきたものでした。
1927年に量産が開始された初代ボルボ ÖV4で、すでに採用されたこのエンブレムは、当時、他国で精製されたものにくらべ、優れた品質を実現しているスウェーデン製の鉄の「頑丈で信頼性が高い」というイメージを想起させるものでした。
ちなみに、このときのメーカーロゴは、エンブレムとは別に付けられており、金縁の白抜き文字でVOLVO GOTHENBURG SWEDENとなっていました。
■何故鉄のシンボルマークを選んだのか
ボルボの母体は、世界的ベアリングメーカーのSKF社です。ボルボという名前の由来は、このSKFが関係しています。
創業のきっかけは、SKF社の販売部長アッサル・ガブリエルソンとSKF社のエンジニアであったグスタフ・ラーソンが、プロトタイプモデルを製造し、休眠していた子会社のボルボを譲り受けたことでした。
ボルボ(VOLVO)の意味は、ラテン語で「私は回る」というもので、なんともベアリングメーカーらしい名前だったのです。それ以来、現在まで、大切に使用されてきたのです。
■ボルボのエンブレムの変容
現行のボルボのエンブレムは、すでに紹介したように円の中心にVOLVOのロゴ、右斜め上にアイアン・マークを表す矢印が置かれています。しかし、ボルボの当初からこのエンブレムが採用されていたわけではありません。
1927年に発売されたボルボ社の量産車第1号は、ÖV4という4気筒エンジンを搭載したモデルでした、ヤコブという名称でも知られています。ÖV4で採用されたグリルを対角線状に区切ったバーの中心にアイアンマークを配したデザインは1940年代まで使われていました。
グリル右上角から左下角に向かって降ろされている1本の対角線はアタッチメントバーと呼ばれ、アイアンマークを取り付けるためのものでした。
自動車のデザインが進化すると同時に、技術も進歩したことで、1930年代後半には、アイアンマークを付けるためのアタッチメントバーはいらなくなりました。
1938年に発表されたV型ノーズに2分割のグリルを装備 したタクシー用のPV801では、グリルのルーバーを利用してアイアンマークが取り付けられています。
第2次大戦後、ボルボ車はアイアンマークを使わず、VOLVOのロゴタイプに統一されます。しかし1961年にスポーツタイプのP1800 がデビューすると、ノーズ先端に取り付けられたバッチには、現在のマークに通じるアイアンマークとVOLVOの文字を組み合わせたエンブレムが描かれていました。
さらに、1966年 中盤には、セダンの144とエステートの145がデビュー。フロントグリルには、アタッチメントバーとそのセンターにはアイアンマークとVOLVOの文字という3つがセットになったグリルデザインが採用されました。
それから現在まで、ボルボ製乗用車のフロントグリルは、同じデザインで統一されています。
トラックやバスといった大型自動車も製造するボルボは、それらにもアタッチメントバーとアイアンマーク、VOLVOロゴで構成されたフロントグリルを採用しており、ちょっとクルマに興味のある方なら、誰でもボルボのクルマだと気づくことができます。
それも長年、頑固なまでに、同じデザインを使い続けたかたこそ。メーカーの歴史は、こいったところでも感じられるものなのですね。