2400馬力の世界最速記録を樹立したボルボのトラック「アイアンナイト」って？

ボルボグループは乗用車部門がボルボ・カーとして別会社になった後も商用車を手がけてきました。トラック部門はボルボ・トラックス、ルノー・トラックス、マック・トラックス、UDトラックスを擁する、ダイムラーに並ぶ世界有数の商用車メーカーです。そのボルボ・トラックスには時速276kmを記録した世界最速トラックがあることを、ご存知でしたか？

 

ボルボ アイアンナイトとは？

時速276kmの世界最高時速を記録し、ギネス入りしたのはボルボ Iron Knight（アイアンナイト）。「鉄の騎士」の名にふさわしく、フロントマスクに配置された大型グリルをブラックアウトし、鉄の盾を想起させる風貌が特徴的です。日本ではあまり知られていませんが、欧米では大型トレーラーのヘッド部分に当たるトラクターによるレースが盛んに開催されています。ボルボ アイアンナイトは、そのレース参戦車両で、一般には市販されていないスペシャルマシンです。

 

ちなみに最高速度が時速270km以上の車種といえば、初代ホンダ NSXやシビック タイプR（2015年モデル）が挙げられます。いかにレーシングカーとはいえアイアンナイトは前面投影面積がNSXやシビック タイプRの数倍と非常に広く、空力的にはかなり不利な条件です。それでも同レベルの最高速度を記録したことは、まさに驚嘆に値します。 ボルボ アイアンナイトのスペックは、乗用車では考えられないほど強大です。搭載エンジンはD13型13L直列6気筒ディーゼルターボ＆スーパーチャージャーで、最高出力は2,400PS、最大トルクは6,000N･m（611.8kgf･m）。このエンジンを車両重量4.5tのトラクターに搭載します。パワーウエイトレシオは驚異の1.875kg/psで、乗用車と比較するとマクラーレン 650Sの2.05kg/psを凌ぎます。0-100m加速は4.6秒と、レクサス RC-Fと同じです。もはやスポーツカー並の加速性能なのです。

 

トランスミッションは電子制御式i-Shiftをデュアルクラッチ化して搭載しています。市販のi-Shiftは前12段、後4段の電子制御トランスミッションです。2014年以降、540ps以上のハイパフォーマンストラックにはデュアルクラッチ版i-Shiftが搭載されていますが、許容トルクは2,800N･mまで。アイアンナイトに搭載されているi-Shiftは市販品の2倍以上の6,000N･mに対応できるため、いかに頑強で特別なミッションかが伺いしれます。

 

ボルボ アイアンナイトのベースとなったのは、同社のFHです。アイアンナイトのハイパフォーマンスぶりがかなり目立ちますが、実はベース車のFHもかなりハイスペックなトラックなのです。

 

ボルボ アイアンナイトVSボルボ S60ポールスターTC1

Youtubeのボルボ公式チャンネルでは、サーキットを舞台にアイアンナイトとS60ポールスターTC1の通常ならあり得ない対決動画が公開されています。対決方法は1マイルの直線とサーキット1周の2種で、後者にはS60ポールスターTC1が数秒遅れスタートし、ハンデが与えられます。

 

まずは直線対決。ホイールスピンを起こしながらも6,000N･mを活かしたスタードダッシュを見せたアイアンナイトがS60ポールスターを圧勝します。1馬身ならぬ車身は差があったようです。

 

サーキット対決ではS60ポールスターTC1が、ハンデを物ともせずにアイアンナイトに勝利。全高3,400mmオーバー、ホイールベース3,300mmのアイアンナイトでは、コーナリングがネックとなりスタートハンデを覆された展開です。 普通のレース等では考えられない対決ですが、この比較でアイアンナイトのすごさが証明されましたね。

 

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