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2016/4/1 What's VOLVO

240 CLASSIC ESTATE

撮影協力:SPIKE

岐阜市にあるセレクトショップ「SPIKE」。スタジオオリベやワングラビティ、キャピタル、サウンドマンなど、国内外からブランドを取り揃え、ストリートファッションを卒業した大人のためのカジュアルを提案している。

オーナーである飯沼和樹さんは、インポートセレクトショップでバイヤーを経て、5年前に独立。大学時代は工学部で学び、一時は自動車部品メーカーでパーツの設計なども行っていたというユニークな経歴の持ち主だ。「昔からなぜか、旧車に惹かれるんですよね。ファッションも同じですが、ベーシックで長く使えるものが好きなんだと思います」。

 

 

店の前で佇んでいるのが、現在の愛車である92年式ボルボ240エステートクラシックだ。

「完成されたクルマなので外観はいじりたくない」と飯沼さん。“ベーシックで長く使える”というこだわりを反映した車は、同時にSPIKEのスタイルを伝える看板代わりにもなっているようだ。

そもそも飯沼さんがクルマに傾倒していったのは大学の頃。ところが自由になるお金が少なく、輸入車はただ憧れの存在だった。しっかりと育ったその思いは、大学を出てから一気に解き放たれ、クルマ好きが高じてこれまで実に10台以上を乗り継いできたとか。そして、この240をきっかけとして、飯沼さんは交流の輪が広がった。兄貴肌の飯沼さんの元に集まったのは、インテリアデザイナーの篠田健一さんと、そのバンド仲間の野々村剛さん。SPIKEの店舗デザインを篠田さんが手がけた際、同じ240乗りということで意気投合。すでに篠田さんと友人であった野々村さんまでつながっていき、今でも時間があれば店に集合し、240談義に花を咲かせている。

 

 

いい大人たちも、クルマの話をすると途端に表情は柔和になる。篠田さんのクルマは’93年式最終。そして野々村さんは同じ’93年式のリミテッドエディション。ときに集う3台の姿に、街行く人々も振り返ることが多い。また、同じ角ばったデザインの240、しかも同系色でありながら、年式とグレードで微妙に違うフォルムが互いを刺激し、SPIKEでの会話に弾みをつけるのだろうか。三人からそれぞれ感じられる雰囲気、ファッションの違いが、そこはかとなく愛車からも漂ってくるからおもしろい。しかし一方で、三人とも落ち着き、ゆったりと構えている点は共通している。3つのかけらがそろうと、不思議とその空間は時がゆっくりと流れ出す。クルマが人を選んだのか、人がクルマを選んだのか。240に乗る人は喧騒とは無縁だ。それではいったい、彼らを惹きつける240エステートクラシックの魅力とは何だろうか。

 

 

 

飯沼さんは語る「過剰な機能やデコラティブなパーツはいらない。自分に必要なクルマを突き詰めていったら、こいつに行き着いたといった感じかな。ずっと角ばった240に乗りたくて、いろんなところにアンテナを張っていたら、ようやく見つかった。すでに10万km走っていたけど、ベージュのレザーも程度がいいし、ベルト類などの消耗品をすべて換えて、今からが本番という状態です」。購入してから1年ほどが経ち、オルタネーターを付けているフックが折れた以外は大きなトラブルもない。ラジエターを社外品に換え、車内でiPodが聞けるようにした以外は、何も触っていないし、これからもこのままだろうと言う。「ボルボ240乗りは、こだわりが強い偏屈が多いかもね」と続けた。

 

 

 

ずっと憧れていたクルマという点は、篠田さんも同じだ。「デザイン、ビジュアル、内装、すべてに惹かれましたね。以前から狙っていたクルマなんですが、年々程度の良い240が減少していくと思い、あわてて買いました」と篠田さん。購入後6年以上経った今でも走行距離は14000km程度というから、いかに大切に乗っているかが分かる。「ラゲッジスペースが広いので、アウトドアや買い物に使い勝手がいいですね。ただその分、後部座席が少々狭いかな」。

 

 

野々村さんに至っては、ボルボは高校時代から「いつか乗りたい」と思っていたそうだ。篠田さんとバンド活動をしていることもあり、広大なラゲッジスペースには各種機材を積み込んでいるとか。「仕事でもプライベートでも活用しています。キャンピングトレーラーを引っ張って郡上に行ったりすることもあります。大きい割に小回りが利くから便利なんです」とも。購入から10年以上と、かなり長いボルボライフを送っているが、消耗品の交換をのぞき大きなトラブルはないとか。憧れの一台とともに、これからも様々な場所へ出かけていくことだろう。

 

 

ショップオーナーでありバイヤーである飯沼さん。店が休みのときは買い付けに出かけるため、休みは年間で20日ほどだと言う。それでも、出勤前の洗車で愛車とコミュニケーションを図り、自宅とショップまでの毎日のミニドライブを満喫している。「これまでもっと速いクルマにも乗ってきましたが、こいつはゆっくり走っていても気にならないんですよ。開放感を感じる室内空間がそうさせるのかもしれませんね」。山でも海でも絵になるスタイルと、広大なラゲッジルーム。それらを活かして、家族でアウトドアに出かける計画もあるのだとか。飯沼さんのライフスタイルに、篠田さん、野々村さんも共感している様子。3台の240の小さな集会は、どうやらこれからも頻繁に行われそうだ。

 

 

Photographs by Noriyuki Washizu Text by Eiji Kito Creative Direction & Art Direction by Akihiro Imao