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ボルボ初の2ドアクーペ。262Cをご存知ですか?
現在は、セダンとエステート、SUVでそのラインナップを構成するボルボですが、かつて美しい2ドアクーペもラインナップされていた時代があります。それが1985年デビューの780であり、1997年に発売されたクーペカブリオレのC70 ですが、ここではその源流となった、ボルボ初の2ドアクーペにスポットを当ててみたいと思います。
■開発の経緯
262Cは、かつてのスポーツモデル、P1800シリーズの後継として1977年にデビューしました。開発のきっかけは、P1800シリーズの1800ES以降、トップレンジのスポーツモデルが存在していないことを、当時のCEOペール・G・ジレンハマーが問題視したことでした。ボルボにとって大きな市場だった北米で、ラグジュアリークーペは他のスポーツカーよりも重視されていたのです。そこでボルボは、1977年3月のジュネーブモーターショーで、4ドアセダン264のプラットフォームをベースに、Aピラーを大きく傾斜させルーフの位置を60mm低くした2ドアクーペ「262C」を発表します。
年間目標生産台数は800台という比較的ニッチな存在だった262Cの生産は、イェーテボリにある大きなボルボ工場では難しく、イタリアのカロッツェリア・ベルトーネが請け負います。そのために、必要なパーツをイタリアのトリノへ送り、塗装や最終的な組み立てをベルトーネが行うというイレギュラーな生産方法が取られていました。その証として、フロントウインドウ下にベルトーネのエンブレムが付けらています。
■内外装の特徴
初期の262Cは、すべてルーフを黒い樹脂性のカバーで覆ったスタイルを採用していました。またCピラーには、スウェーデン国を象徴する紋章である3つの王冠が取り付けられています。
4ドアのプラットフォームをベースとしているので、4人でゆったり乗れるクーペモデルであることも特徴のひとつ。ヘッドランプやグリルなどエクステリアの主要パーツは、260シリーズと共通でした。
一方、インテリアにはレザーとハードウッドが贅沢に使用され、シート、ヘッドレスト、ドアサイド、そしてステアリングもレザーで仕上げという豪華さでした。
■パワートレイン
262Cに搭載されたパワーユニットは、260シリーズに搭載されている2.7リッターV6エンジンが搭載されています。
このエンジンは、プジョー、ルノーと共同で開発された通称PRVユニットと呼ばれるもので、最高出力141hpを発揮。このB27E型エンジンは、アルミニウム製のエンジンブロックとシリンダーヘッドを採用したことで、エンジン重量が150kg以下となり、車両重量の軽減にも寄与しています。
1981年に登場した最終モデルでは、エンジン排気量を2.8LとしたB28E型に置き換えられます。
・ボルボ 262C 主要諸元
生産期間:1977~1981年
生産台数:6,622台
ボディタイプ:2ドアクーペ
エンジン:V6OHC、2,664 cc、(後期モデル1980年~2,849 cc)
トランスミッション:電動式オーバードライブ付き4速マニュアル、3速オートマチック
ブレーキ:全輪油圧式ディスクブレーキ
寸法:全長 4,880mm×全幅1,710mm×全高1,360mm、ホイールベース 2,640mm
262Cの市場での評価は想像以上に高く、実際の生産台数は想定年間800台の2倍を超え、総生産台数は6,622台。現在では、コレクションの対象となっています。
262Cの後継は、1985年にデビューした780で、このクルマは設計と生産の両方がイタリアのベルトーネで行われました。
今回は、ボルボの美しい2ドアクーペ、262Cを紹介しました。こうした美しく、ラグジュアリーな2ドアクーペが、現在のボルボラインナップに存在していないことが残念に感じてしまうほど、とても素敵なクーペでした。
しかし、このモデルで培われたラグジュアリー性、スポーツ性は確実に現在のボルボのモデルに引き継がれているのです。